最近すっかり放置の書棚(汗)に喝を。
(読んでないことはないが、なかなか書く時間が・・・)
そんな久々の作品は、中世ドイツの暗黒時代・30年戦争を扱った『聖餐城』。
時代設定が珍しいが、馬の腹から生まれた、と言われる少年(アディ)と
ユダヤ人富豪の末裔である少年(イシュア)という主人公の組み合わせも非常に珍しい。
騎士の名門・ローゼンミューラー家に入隊し、戦争に身を投じるアディと
宮廷で権力の階段をのし上がっていくイシュアの両名からこの時代を描く。
かなり分厚いページ数と、重厚なイラストで大作感が出ているのだが、
いかんせん肝心の内容に大作感が感じられない。
戦争の傭兵達がドイツ全域を荒らしまわり、悲惨としかいえない光景を
かなり具体的に書いていたり、あの名高いルターが
めちゃくちゃユダヤ人差別主義者だったりと、現実を見ている描写は評価するが、
登場人物の視点が複数あるため内容が散漫になっている感がある。
戦いに関する描写がこう続くと、やむを得ない面もあると思うのだが
グスタフ・アドルフやヴァレンシュタインも、その登場から死亡まで
かなり淡々と書かれているように思える。
そして肝心の「聖餐城」というテーマが物語を通底していない・・・
この怪しげな城を探すアドベンチャーと思ったら大間違い(笑)
テーマはもっと深いところにある。
目に浮かぶような、鮮やかな場面もいくつかあるので
読み終わった後にスタッフロールが流れるような読後感はあるが、
あともう一歩何かが欲しい。
posted by しゅらいぜ at 19:55| 東京 ☁|
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